あいたまベルギー日記

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2006年 10月 16日

ドイツ1年目の振り返り

昨年の10月31日にハノーファーに来てそろそろ1年になる。
正直、もう一年たったかと感じる反面、日本での1年より長かった。
これは日本でいるときのアクセク感がない生活をしていたから。
TVもあまり見ない、エンターテイメントは少ない、友達と飲みに行くことも少ない。
充実してなかったのではなくて、いろいろ楽しい事もあったし、もっぱら仕事については今までにない経験と刺激を受けてある程度進化したんちゃうかと思う。

自分の場合、単純にドイツでいい生活をしたかどうかは仕事で満足できたかどうかが大きく影響する。仕事で不安をかかえながらドイツ生活を楽しんだり、ヨーロッパ旅行をしても心底楽しいと思えない。特に、自分はその性分があるし、うまくいってるかどうかは自分で分かる。

今回は仕事をメインに振り返ってみる。

来たばかりの11月は「できなくて/知らなくて当たり前」だった。
いろいろ勉強させて頂いた。
全部が新しいことで毎日仕事は楽しかった。
ところが日本人プレミアムがなくなった半年後、もっぱら積極的に関わると、高いレベルのやりとりについていく難しさやら、人間関係のストレスやら単純な言語面でのフラストレーションが多くて、ストレスピークで白髪が増えた。そんな時期もあったけど、ようやくこの9月ごろにまだまだなものの、ある程度の手ごたえを得た感がある。

今、少しほっとしてる。

 振り返ると「なんやかんやで結構いろいろやったな」という実感を自分自身で感じたことと、もっぱらドイツ人マネージャーに徐々に認められ始めているという手ごたえを得たことが大きい。
最初に上司に高いレベル(駐在員は高いコストかかってる。スタッフじゃない。マネージメンバー。駐在員は日本人がいなくなっても会社が動く仕組みを作るもの。年とか役職とか関係ない。)を求められて、かたや、現地マネージャー&スタッフと早々に対等にやっていかないといけないサンドイッチ状態になった。
加えて、自分の置かれている立場上、各方面からいろんな情報を得るために、部門を超えていろんなところに首を突っ込んだ。今思うと、良きも悪しきもかなり背伸びをしていた。
そのために、現地マネージャーとのコミニケーションにいささかフラストレーションがたまっていた。
早まったところがあった。

駐在中の仕事がサクセスフルかどうかは現地マネージャー&スタッフと本当の信頼関係を築いてパートナーとしてやっていけるかどうかが大きいと思う。
日本人だから普通の現地スタッフよりも特別扱いではあるけど、そんな簡単ではなかった。
自分が認められてないと、質問に対して浅い回答をされるし、情報交換の域になってしまう。
逆に、こっちが理屈が正しくても「彼らは分かってへんな~」と言って済ましてられない。
当事者だから、いろんな人間に実際に動いてもらうことが必要なのに、こうなって悪循環になると、仕事が膨らまなくて終わってしまう。
こうなったら駐在員としては一番恐ろしい。

加えて、やっぱりドイツ語の壁というのは大きかった。
深く入れば入るほどそう思う。
ドイツ語のミーティングは今でもきつい。

やっぱり、もちろんドイツではドイツ人が活躍する。
優秀なドイツ人人材も一杯いる。
そして、ドイツ人マネージャーのキャリアは十分僕より相当長くて僕が問題視したことはある程度、問題視して一度検討されている。だから高いレベルで理解しないときつい。
それに、ドイツ人は特に納得するまで動かない。

いっそのこと誰かがやらないと成り立たないポストに就けば、この種のキツさはなかったと思う。その人特定の仕事があるだけでも十分存在価値があるから。

立場上、大事なのは、詳細情報を得ること。
そのために現地人に信頼されること。
語学が堪能であるにこしたことはないけど、語学はある程度までで、そこは大きいポイントではなかった。
簡単にいうと彼らが好きか嫌いか。
物事に誠意を持って接していて一生懸命かどうか。
必要なのは、ビジネスの理解は大前提で、小手先でなくてそれに根本的な倫理観をしっかりもつことかと思った。

約束を守る。
敬意を持って接する。
感謝する。
こっちの気持ちがぶれないこと。
邪念で行動しない。
文化に従う。
かっこつけない。
理論武装しない。
うそをつかない。  etc.

現地スタッフはめちゃくちゃ駐在員が何を考えて、何をしていて、どういう対応をするか見てる。

会話は英語で難しいし、言っている中身はまだまだだと思うけど、ねばっこさである程度真剣みは伝わったと思う。入社1年目で飛込み営業をしていたときの「セールスお断り」にあえてドアたたいて入っていった感覚だった。

最近、ようやく部門間の間隙に僕が取り組める問題が多いことが分かった。
ドイツでよく聞く「だれだれの仕事なので私は知りません」。
これはドイツ人の専門職思考の代表言葉。
この弊害で部門間/人間間/仕事間で隙が一杯ある。
そして、労働時間はきっちり守るのが一番高い優先度なんで、8割2割の法則(*1)で時間のかかることを率先してしない。
ここが日本人がはいって取り組むところ。

*1)10時間かかる仕事があったら8割の仕事は2時間で仕上がってあとの2割が8時間かかる道理

これから2年目、ドイツ語をやらないかん。
英語でコミニケーション可能な本社の粋を脱しないと広がらない。
もっとどっぷりドイツ人スタッフの中に入って、3,4年目にはディーラー/顧客ともドイツ語で話せるレベルまで行きたい。
これができたら◎なんやけど、ハードルはだいぶ高い。

どうでもええけど、ヘルメットかぶってた6年前にはドイツに来てこんなこと考えるとは思わんかったわ。

任期終了前にはある程度刀をネクタイに替えたモダンな侍になっときたい。
ドイツ人に日本の20代がどんなか分からせる。
親父、サラリーマンがんばってまっせ。

Tama

by tamarich | 2006-10-16 02:39 | 仕事


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